Je te rends ton amour / Mylène Farmer 解説(6)



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3.「眼」について


(ジョルジュ・バタイユ)

さて、海外のミレーヌ・ファン・サイトやミレーヌ関連本の多くは、Je te rends ton amour の元ネタとしてジョルジュ・バタイユ(1897-1962)の処女小説「眼球譚」 L'histoire de l'oeil (1928) を挙げています。

ところが奇妙な事に、どの資料を見ても、歌詞のどこに引用箇所があるのかは載っていないのです。これはどういう事なのでしょうか?

その後、「眼球譚」を読んでみてわかったのですが、どうやらこの小説は歌詞ではなく、ビデオクリップの元ネタになっているようです。

元ネタと思われるのは、「眼球譚」のクライマックス・シーン。ビデオクリップと小説は、同じような場所(カトリック教会の告解室)で、似たような事件(レイプ&殺人)が起こるのですが…。

面白い事に、ビデオクリップの設定は「眼球譚」と正反対なのです。そして、そのためにかえって、この小説を元ネタした事実が強調される結果となっているのですよ。以下、主な違いを挙げてみましょう。

(1)被害者と加害者の立場
ご存知のように、ビデオクリップでは告解に訪れたミレーヌ扮するヒロインが、告解を聞かされて劣情を催した(と思われる)司祭からレイプされる内容となっています。

ところが元ネタの小説では、これが正反対。加害者は、告解に来た(と見せかけた)ヒロインで、被害者は、あけすけな告解を聞かされて困惑する司祭の方なのです。

(2)被害者が「眼」を失うタイミング
ビデオクリップの被害者(ミレーヌ)は、盲目の設定でした。彼女はあらかじめ、「眼(=視力)」を失った存在なのですね。

しかし小説では、被害者の司祭は、殺害された後に「眼(=眼球)」を抉り取られるのです。で、ヒロインはこの眼玉を、ある事に活用するわけですが…。

ここから先は、言わぬが花というものでしょう。もし、この小説を手にする機会がありましたら、どうぞご自身でお確かめください。

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