Libertine / Mylène Farmer 解説(3)



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3.「ハシカ」と「誘い」について

えーと…。ここからは解説というより言い訳です。実は拙訳には、わざと誤訳している箇所がありまして…。

(その1)

 Cendre de lune, petite bulle d'écume
 Poussée par le vent, je brûle et je m'enrhume
 月の灰 小さな泡沫(うたかた)
 風に押され 火が着いたら ハシカになる

2行目の直訳は、「風に押されて、私は燃え、風邪を引く」なのです。でも、日本語で「カゼ」に押されて「カゼ」を引くなんてやっちゃったら、文字通りシャレにならないんですよね…。

で、ここは色っぽいレトリックに違いないと考えて、日本語でもそっちの意味に使える「ハシカ」に置き換えました。もしかすると単純に、「服着てないから風邪引いちゃう」ってだけなのかも知れませんけど…。(^_^;;

(その2)
 Je, je suis libertine
 Je suis une catin
 Je, je suis si fragile
 Qu'on me tienne la main
 私、私、淫らになる
 私は 娼婦になる
 私、私、崩れてゆく
 誘いに 手を引かれて

最終行の直訳は、「私は、私はとても《身持ちが悪い》ので、人は私の手を引く」。

とはいえ、ここで「身持ちが悪い」と言い切ってしまうと、日本的感覚ではヒロインに感情移入できなくなる恐れがあるため、ここは一歩引いて訳しました。

「人」が「誘い」に変わった理由は…。スイマセン。訳していた当時、華原朋美の「I'm proud」が大ヒットしていて、その中の「大人が誘いの手を引く」というフレーズが、印象的だったからです(汗)。

とは言え、この歌詞がサドの「美徳の不幸」を下敷きにしているとすれば、fragile は「身持ちが悪い」というより、「か弱い」という意味に解釈した方が良かったかも知れません。

ジュスティーヌって、ホント、今どきの感覚からすると「オマエ、学習能力ないんかい!」ってツッコミを入れたくなるほどのワンパターン娘なんですよ。

毎回、ひれ伏して泣きながら、自分がひたすら「か弱き無力な女」である事を訴え、それがかえって悪徳信奉者の加虐心を煽っちゃってるんですもん。

あれれ…?そうなると、歌詞の

 Aimer c'est pleurer quand on s'incline
 愛とは ひれ伏して泣く事

って、もしかして、そういう意味だったんでしょうか?(^^;

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