Love dance / Mylène Farmer 解説(3)


Mylène Farmer - Love Dance par MyleneFarmerVEVO

3.「メリメロ」と「ハッピーバースデイ」について

それでは、いよいよ、あまり評判のよろしくない英語パートです。まずは冒頭のAメロから見てゆきましょう。

 Do you love me
 Love me do
 Me do love you
 Me too !
 You me love do
 Love me do you
 Dis... love me ?

 愛してる? 私
 愛して
 私 してる 愛
 私も!
 してる 私 愛
 して 愛
 言って… 愛してる 私を?

最初こそマトモな英語ですが、曲が進むごとに、どんどんヘンテコで、ワケがわからなくなってゆきますよね。

あくまでも主観なんですが、これはいわゆるピロートークが、コトの進行につれ、だんだんウワゴトめいてゆく様を表現しているのかも知れません。

なお、訳出に当たっては、勝手にブロークンな日本語を捏造するわけにも行きませんので…。

 ・Me do love you
   ↓
  I do love you の I を、わざと me に誤用した。

 ・You me love
   ↓
  You love me? を、わざとフランス語式の語順で表記した。

 ・do / Love me
   ↓
  Make love to me と言いたかったのを、わざと do と混同した
  (フランス語では「する」も「作る」も、同じ動詞で表現するところから)。

 ・do you / Dis... love me ?
   ↓
  Do you love me ? の途中で、Dis... (フランス語で「言って」の意味) が混入した。

という解釈で一旦日本語にしてから、必要に応じてブロークンにしています。

…という事にしておいてください(笑)。

さらに、この意味不明のグチャグチャ英語は、Bメロに登場する重要なキーワード、méli mélo (メリメロ。「ごちゃまぜ」や「支離滅裂」の意味) を導き出す伏線にもなっています。

という事で、続いてBメロ部分の歌詞を見てみましょう。

 La la la la la
 If you say so...
 La la la la la
 Won't let you go!
 La la la la la
 How should I know?
 Que tu m'aimes moi
 Méli mélo

 ラ、ラ、ラ、ラ、ラ
 言葉にしたなら…
 ラ、ラ、ラ、ラ、ラ
 もう離さないわ!
 ラ、ラ、ラ、ラ、ラ
 でなきゃ わからない
 好きなんて
 私はメリメロ

 La la la la la
 If you say so...
 La la la la la
 Won't let me go!
 La la la la la
 Lupo lupo
 Mon méli mélo
 Méli mélo

 ラ、ラ、ラ、ラ、ラ
 言葉にしたなら…
 ラ、ラ、ラ、ラ、ラ
 もう離さないで!
 ラ、ラ、ラ、ラ、ラ
 あなたは狼 (ルポ)、狼 (ルポ)
 モン・メリメロ
 私のメリメロ

ここに至って、ヒロインの「言語障害(笑)」の原因が、初めて明らかになります。

思い切りキレイな言い方をすれば、彼女は「友だち以上、恋人未満」のアヤフヤ (=メリメロ) な関係に悩み、グチャグチャ (=メリメロ) な精神状態になっていたのですね。

だからこそ、「愛してる」という決定的なひと言が欲しかったわけです。

ちなみに、引用箇所の後半に登場する lupo(日本ではルポ、もしくはルーポと表記されるようです) は、イタリア語で「狼」の意味。ここでは親しい男性への呼びかけ語として使われています (※注1) 。

でも「狼」には、童話の「赤ずきん」や「七匹の子やぎ」に見られるような「狡猾な捕食者」というイメージもありますよね。

ですから、この言葉は、「あなた」が「本当に自分と親しい間柄なのか、それとも、ずる賢く立ち回って自分を《つまみ食い》しているだけなのかわからない」という、メリメロ状態の象徴にもなっているのです。

しかしながら、そんな中途半端な2人の関係も、やがて終焉を迎えます。それを暗示しているのが、歌の最後で唐突に登場する

 Happy birthday to you!

なるメッセージ。

思うにこれは、「愛が生まれた日」という事ではないでしょうか?ようやく「あなた」は、「愛してる」と言ってくれたのですね。

さらに追い打ちをかけるように、

 Happy birthday to you too

というメッセージが続く所を見ると、もしかするとヒロインには、もうひとつ《おめでた》い出来事があったのかも知れません。

ただし…。この歌の作詞者が相当に皮肉屋で、これまで散々、人を喰った歌詞を書いてきている事を忘れてはいけませんよ。つまり、どっちが卵でどっちがニワトリかは、わからないのです。

ひょっとするとヒロインは、「今日は大丈夫な日だから…」とウソをつき、見事に身ごもって「あなた」に責任を取らせたのかも知れませんね…。( ^_^;)コワイ...

※注1:実際のイタリア語圏にそうした用法があるかどうかは不明ですが、ミレーヌファルメールの母語の
    フランス語では、オオカミ(loup)は、親しい男性の愛称として良く使われるため、そう解釈しました。

    イタリア語が使われている理由は、脚韻のためですが、もしかするとミレーヌのプライベートな
    パートナーと言われている、映像監督のブノワ・ディ・サバティーノがイタリア系フランス人だから
    かも知れません。

    彼女は昔から、自作詞に自分や自分のパートナーを連想させる人物を登場させ、どこまでが事実で、
    どこからが創作か判らなくさせては、純真なファンをヤキモキ(=メリメロ)させる名手だからです(笑)。

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