Jardin de Vienne / Mylène Farmer 解説(1)



訳詞 + 原文を新しいウィンドウで開く

1.「林檎のように」について

 Petit bonhomme
 S'est endormi
 Comme une pomme
 On t'a cueilli
 あの坊やなら
 眠りについた
 林檎のように
 もぎり取られて

深刻な内容のはずなのに、訳してて思わずクスッと笑ってしまいました。

「眠りについた (s'est endormi) 」の直後に「林檎 (pomme) 」が出て来たもので、ついつい tomber dans les pommes (リンゴの中に落ちる → 気絶や睡魔などで意識を失う) っていう慣用句を連想してしまったんです。

これでは「死ぬ」の婉曲表現が、ホントに「眠っている」事になっちゃいますよね。

この慣用句はフランス語でも非常にポピュラーですから、間接的に命を奪われた事をほのめかしたかったにせよ、わざわざ Comme une pomme / On t'a cueilli (直訳:林檎のように/人はあなたをもぎ取った)なんて表現をここで使うというのは、いかがなもんでしょう?

ましてや pomme には、「間抜け」とか「お人好し」の意味もあるのです。おまけに前置詞 comme は、「~のように」だけでなく、「~として」という用法もありますから、このフレーズは、「お人好しとして/摘み取られた」とも読めちゃうんですよ。

もしかするとこの歌詞、単純に「あなた」の死を悼むだけの内容ではないのかも知れません。

たとえばこの petit bonhomme (目下の男性に使う愛称)君、相当に世間知らずな、「ええトコのぼんぼん」で、ファム・ファタルの「私」にさんざん翻弄されたあげく全財産を貢がされ、とうとう首くくって死んじゃったっていう可能性もありますね。(^_^;

こんな風に、この歌詞は結構ブラックな深読みが可能です。たとえば、

 Ton corps balance
 Au vent de soir
 Comme une danse
 Un au revoir
 あなたの身体は
 夜風に揺られ
 ダンスを真似る
「またね」と告げる

で、「あなた」の死体が揺れる様を「さよなら」の手の動きに見立てているのも、その一例。 ここは Au revoir (また会いましょう)ってところがコワイです。

普通ならこういう場合は、Adieu (神の御許で会いましょう → お互い、神に召されてから会いましょう)でしょうに…。

「私」には「あなた」が、「『この世』で、また会いましょう」って言ってるように、見えたんでしょうかねぇ(笑)?

解説の続きへ 訳詞に戻る
関連記事
スポンサーサイト

comment

post comment

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://fairelabombe.blog.fc2.com/tb.php/191-2d1eb6fc