Innamoramento / Mylène Farmer 解説(3)



※この解説は、以前、ミレーヌファルメールの日本語ファンサイト Filament de lune に掲載させていただいていた文章を再構成した物です。

3.「月のフィラメント」と「希望を重ねて」について

この歌の、Aメロからサビにつながるブリッジ部分の歌詞は、サビ同様これまた「恋愛って、そういうものよね…」という述懐を歌っています。まずは、1番から見て行きましょう。

 J'ai / Dans le coeur un fil minuscule
 Filament de lune
 Qui soutient, là, un diamant qui s'use
 Mais qui aime
 心に宿った細すぎる糸は
 月のフィラメント
 そこに繋がれた風化するダイヤ
 それが愛なの

この部分は、純和風に言うと "愛は線香花火"って事ではないでしょうか?

線香花火の玉は、火花を放ちながら小さくなり消えてゆきますけど、その前に軸が焼き切れても、落ちて消えてしまいますよね。この歌詞では、「風化するダイヤ」が「玉」で、「月のフィラメント」が「軸」に相当するのではないかと思います。

ちなみに「月」は、欧米では女性の象徴とされる事が多く、ミレーヌの歌でもたびたび女性の象徴として使われています (LibertineXXLEt si vieillir m'était conté...)。

この歌は下世話な言い方をすれば、一時期社会問題となった "妻の定年" のテーマソングですから、やはり「月」には「女性」イメージが託されていると考えて良いでしょう。

※注: なお、「月」の女性イメージは、満ち欠けの周期が女性の生理の周期と同じところから来ているようです。また、フランス語の場合、lune (月)は l'une (1人の女性)と発音が同じですから、このあたりにも女性イメージの源があるのかも知れません。

それでは、2番のブリッジ部分です。

 Et son âme soeur,
 On l'espère, on l'attend, on la fuit même
 Mais on aime
 寄り添う相手に
 希望を重ねて 時に背も向ける
 それが愛なの

ここは、最初の2行を、どう解釈するかがポイントですね。

「そして自分の伴侶を/人は望み、待ち、避ける事すらする」ではなく、「そして伴侶に/人は希望し、期待し、背く事すらある」と読まないと、最後の Mais on aime (それでも、人は愛する = 誰かを「愛する」というのは、そういう事なのだ)という部分が生きて来ないんです。

もちろん、何を「希望し、期待」するかと言えば、「私」が言葉にしなかった不平不満を敏感に察知し、時には先回りして解消してくれる事でしょう。

何せこの「あなた」、 「ほんとの私に気づかず」、「私の孤独を信じず」、「視点を変えはしなかった」っていう、釣った魚にエサやらない典型みたいな男ですから(苦笑)。

でも…。決して「あなた」の肩を持つわけではありませんが、アラン&バーバラ・ピーズの「話を聞かない男、地図が読めない女」を持ち出すまでもなく、こういうのはホント、一般男性の苦手分野だと思うのです。キチンとわかるように説明してもらえれば、「あっ、そうなのか」って反省のひとつもできるんですけど…。

なんて書くと、女性陣から「言わなわからへんの?そんなん、愛情が足りひん証拠やん!」って言われそうで、ちょっと怖いんですけどね…。(^^;;

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