Innamoramento / Mylène Farmer 解説(2)



※この解説は、以前、ミレーヌファルメールの日本語ファンサイト Filament de lune に掲載させていただいていた文章を再構成した物です。

2.「エコー」について

 Tout son être s'impose à nous
 Trouver enfin peut-être un écho
 その存在には、誰も打ち勝てず
 最後は、きっとエコー見るのね

サビの最後の2行について解説を続けます。Tout son être s'impose à nous は、直訳すると「すべてのその存在は、私たちに自分を押しつける」 。

何やら判じ物めいていますが、「その存在」も「自分」も、「イナモラメント (=恋) の存在」だと思ってください。恋心って奴には、誰も抵抗できないのですね。否定すればするほど、激しく燃えあがっちゃったりして…。

でも、着火性の高い恋ほど、得てして燃え尽きるのも早いもの。で、 Trouver enfin peut-être un écho (直訳: 最後には、おそらくエコーを見つける) って事になりがちなわけです。

この場合の「エコー」は、ギリシャ神話に登場するニンフの名前。もともとおしゃべり好きだった彼女は、ゼウスが仲間のニンフと浮気をしていた時、得意のおしゃべりでゼウスの妻ヘラをごまかそうとしました。が…。

結局見破られ、激怒したヘラから「相手のしゃべった言葉の最後を繰り返す以外、おしゃべり禁止!」という罰を食らっちゃうんです。

そんなエコーが、ある日恋をしました。でも、まともに話ができない彼女は、まったく相手にされません。とうとう悲しみのあまり、彼女は肉体を失って、声だけの存在になってしまいます…(涙)。

これだけでも哀しいお話なんですが、実はまだまだ続きがありまして、何とエコーの恋した相手は、ナルキッソス(ナルシス)だったんですね。

ご存知の通り、ナルキッソスはその後、エコーに同情した復讐の女神ネメシスに呪いをかけられ、泉に映る自分の姿に一目惚れしてしまいます。

叶わぬ恋に身を焦がし、必死で水面に呼びかけるナルキッソス。そして、エコーはその傍らで、彼が衰弱死して水仙の花と化すまで、彼の愛の言葉をずっと復唱していたのだそうです…(涙)。

つまり、サビの最終行は "おそらく最後には、自分の事しか見ていない相手の言葉を、エコーのごとく自分自身を喪失したままで繰り返すだけの、虚しい存在になっていた事に気づくだろう" という意味になるんですよ。

くれぐれも、♪あな~たと~呼べ~ばー あな~たと~答ーえるー 山のこーだ~ま~~~のー 嬉しさ~よー みたく(←古すぎ!)、牧歌的な想像はしないでくださいね(笑)。

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